ボクがエジプト・カイロに初めて入国したときに経験した恐喝事件

 

インドのニューデリーに滞在しながら、数日考えこんでいた。

 

情勢の安定しないエジプトに、、今から行くか否か。

 

この記事は長文です、そしてボクがエジプトで恐喝被害にあったことも書いています。

気持ちの良い話ではないので、気分を害したくない方は読まないことをお勧めします。

もくじ

初のエジプトは大苦戦!旅に慣れた頃が1番危ない

当時カイロでは毎日どこかで爆発事件が起きていて、

ISISのテロ騒動は、日本でもニュースで頻繁に取り上げられていた時期だ。

外務省の渡航危険情報も、一時カイロ市内でもレベル2まで引き上げられていた。

それでも、この機を逃したら次はいつピラミッドを見れるか分からなかったから、

どうしてもエジプトに入国したかった。

1日中スマホとにらめっこして、公的なニュースサイト以外にも、

エジプト在住日本人の日常ブログなども読み漁ってみた。

色々調べた結果、

安全とは言い難い情勢だったが、普通に暮らしている日本人の情報も少ないながらあったので、

エジプトに飛ぶことにしました。

カイロ空港で完全になめらる

飛行機はインドを出て、オマーンを経由しエジプトカイロへ。

午前4時くらい、飛行機がカイロ国際空港に到着すると、さっそく出鼻をくじかれた。

 

預けた荷物が返ってこない。。

 

誰に聞いても、

なんだか馬鹿にされているのか?

みんなヘラヘラして真面目に聞いてくれない…

諦めずに空港スタッフを引き留めて深刻さを伝えると、ようやく動いてくれる人がいた。

理由は分からなかったけど、ボクのリュックはバックヤード的なところから出てきた。

助けてくれた年配スタッフ以外、みなヘラヘラしている。

 

リュックは返ってきたが、くくりつけていたカラビナが無くなっていた。

やられた。

 

カラビナくらいあげてもいいけど、盗られたことがショックで、テンションがガタ落ち!

 

日が昇るまで、やり切れない思いを胸に、ベンチで横になり朝を待った。

カイロ空港バスターミナルに潜む男

あらかじめザックリ調べていた情報では、

カイロ市内までは、タクシーかバスで行けるようだった。

ここは、節約のためにバスをチョイスすることに。

しかし、バスターミナルがどこにも見当たらない。

何ごともそうだが、慣れてきた頃に人は失敗をします。

異国を移動することに慣れてきたボクは、カイロ市内への行き方を丁寧に調べていなかったのです。

 

「迷ったら人に聞けばなんとかなるっしょ」

こんな感じ。

 

人に聞ききながら、なんとかバスターミナルまでこれたけど、道を尋ねただけでチップをせがまられる、

人々のシビアな対応に、エジプト渡航は今までの旅とは一癖違った印象を抱く。

 

バスターミナルに到着した直後!

最高に怪しい人物が近寄ってきて、ずっとボクの傍を離れてくれない。

 

「バスはあと5時間は来ないぞ」

 

無視するボク

 

「俺のタクシーで行かないか?」

 

無視

 

「俺はこのバスターミナル全体を管轄しているんだ、副業だがタクシーも出せるぞ」

 

無視

 

「何をそんなに怖い顔してるんだ!!ははは」

 

ヤバいぞ、今までなら3回以上無視していれば、しつこい客引きでも引き下がったのに、

通用しない。。

恐ろしいのは、このエジプト人はガタイがデカすぎという点だ。

襲われたら勝てん。

 

「わかった、30で市内まで行くよ!」

 


30ってUSドルじゃなくてEGP(エジプトポンド)のこと?

30ドルだと高すぎるので、ここはしっかり確認。

 

「そうさ、30エジプトポンドだよ。行くか?」

 

空港からタクシーで市内まで30EGPは、相場よりも大分安い。

 

ボクは彼のタクシーへと足を運んでしまった。

自分でも意外だった、こんな簡単に押しに負けてしまうなんて。

海外旅で初めて恐喝されたときの実体験 inエジプト・カイロ

彼のタクシ―に乗った瞬間、

先ほどこの男が言っていた「バスターミナル全体を管轄している」という言葉は嘘だと気づいた。

案内された車は、ただのオンボロ自家用車だったからだ。

すぐに降りれば良かったが、時すでに遅し、ごきげんな男は車を発車させた。

 

すぐさま男はこんなことを聞いてきた

「宗教は?」

 


ない、無宗教

 

そう答えると、

さっきまで気持ち悪いくらい優しかった男は激~~~~~怒プンプン!!!!

 

「いいいい今、なんて言った?信仰がないだと、お前はラッキーだ!もし俺じゃなかったら、今ここで殺されていたぞ。」

「いいか?宗教を聞かれたら『私はクリスチャンです』次からこう答えろ!エジプトに無宗教のやつなんていないぞ。」

 

説教が始まってしまった。

 

「お前の履いている靴はなんだ、ブーツか?そんな高級なもの履いていたら金持ちだと思われて強盗に襲われるぞ。サンダルを履け」

「さっきから出しているスマホを今すぐしまえ!今この国の経済は最低最悪だ、少しでも金になるものはチラつかせてはダメだ。」

 

ボクはこの人が本当に市内まで運転しているのか、確認するためGPSを開きたかったが、それすら阻止された。

この後も何回かスマホを取り出したが、すぐに怒られた。

 

「先週この辺でアジア人の男が撃たれて殺された

「今カイロの治安は最悪だからな、俺は護身用に銃を持っているぞ。」

 

なぜか銃持ちのアピール、心臓がバクバク頭パニック。

この後どうなってしまうのか全く想像がつかなかった。

 

「このあいだ韓国人の客は優しい奴だった、チップをこんなにくれたんだから。」

 

男はそう言ってボクに100USドルを見せてきた。

 

「お前はいくらくれる?」

 

そして車はハイウェイの隅に停車した。

この写真は後日撮影した別のハイウェイ。

 

「始めに約束した30ドルとチップだよ!今払わないとここで降ろすぞ」

 


30ドルじゃなくて、30EGPだろ?

 

「そんな安いわけないだろう、それじゃガソリン代にもならない、話聞いてなかったのか?」

 


無理だ!USドルは持っていない

ボクは金は無いとウソをついた。

 

ギギギ!

「な・い・だ・と?」

「じゃあーどーすんだよ?」

「俺は今怒っているぞ!俺は怒っている!」

グググ~

 

男は顔を真っ赤にして、今にも殴りかかってきてもおかしくない程、激しく怒り狂って車内で暴れた。

 

顔も体格も声のデカさも、まるでリアルなジャイアン。

ボクはおしっこちびれる寸前w

さっき「銃持ってる」ってアピールしたもの、このためか?

仮に銃がなかったとしても、勝てる気がしない。

 

恐怖に支配されてしまったボクは、


あるよ、あるから…

と言い、隠していたお金を取り出し、

30ドル分のエジプトポンド(約500EGP)を渡した。これは相場の5倍以上の価格だ。

しかし恐喝はこれだけでは済まされなかった。

 

「ガソリン代とハイウェイ代とチップが足りないぞ」

「前の韓国人はこんなにくれたのにな」

 

また同じように100USドルを見せつけてきた。

 

どこまで悪なんだ、、男の要望は100USドル。

ボクが差し出すまで車は発進しない。

おとなしく1200エジプトポンドを払った、最初に払った500ポンドと合わせると

合計で100USドル相当になる。

空港ATMでおろした金の9割が一瞬で消えた。

 

男は金を受け取ると、再び元の笑顔を取り戻し上機嫌になった。

車を走らせ無事ハイウェイを降りると、すぐにまた車を停車させた。

 

「この先がタハリール、だけど一方通行で迂回するのが面倒だ、これ以上すすむには手間賃がいるぞ。」

 

嬉しそうに言ってきた、男はボクの手持ちを全て奪う気だ。

頭にきたので、ビビりながらも応戦する、


警察を呼びます。

 

「どうぞお好き。」

 

こちらが脅しても効果は無い。というか金を渡したあとだし、今さら遅い。

もちろんスマホは圏外、ポリスを呼ぶことは出来ない。

 

終始スマホ(GPS)を開くことを禁止されていたので、現在地が分からない。

先ほどの会話、

「アジア人が撃たれて殺されるくらい治安が危ない」

どうせ男のデマカセなのに、その情報を無視することが出来ずに、車から降りることも怖かった。

それでも、これ以上この車に乗っている方が危険だったので、

どこかも分からない場所だったが車を降りた。

 

しょうもない悪あがきだが…

降りる際、大声で「F○c○!!」と叫びながら全力で車のドアを閉めた。

ジャイアンは余裕の笑みでコチラを見ている。

 

ボクは泣きそうになりながら、急いでスマホを取り出して現在地を確認した。

幸い泊まろうとしていた「サファリ」というホテルは徒歩数分で行けそうだった。

 

「スマホにブーツ、高価な物を身にまとっていると襲われるぞ。」

 

単なるあの男の脅し文句にすぎないはずなのに、歩きながらボクの頭は恐怖心に支配されていた。

街ゆく人々全員に恐怖心を抱き、疑ってしまう。

 

ビクビクしながら迷いながら、なんとかサファリホテルに到着した。

宿のソファーに座った瞬間、

左手の中指と人差し指が小刻みに震えていた。

ロビーに日本人が数人いたが、この日のことは誰にも言えなかった。

 

宿代は日本円でたったの約500円

騙された、というか脅してきた男に払ったタクシー代が約1万円

 

これが初めての、海外旅中にボクが経験した被害でした。

 

「自分は大丈夫」

いつもそんな風に根拠なき自信に満ち溢れていました。

今回ボッロボロに完敗して、自分の身の程というのが少し理解できた。

この時はなぜ「無宗教」という発言にキレられたのか理解できなかったが、

お国によっては、無宗教と発言することは大変失礼なことだと、後に知る。

とても怖かったが、よい勉強になった。

2015年9月 エジプト:カイロ

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